甲府市の中心街にある山梨県内唯一の百貨店「岡島」が所有していた立体駐車場で、建材に使われた吹き付け材から健康に被害を及ぼすアスベスト(石綿)が広い範囲で検出され、むき出しの状態のまま10年以上にわたり放置されていたことがわかった。
岡島は2010年の検査でその事実を把握し、市から建築基準法に基づく改善を求める行政指導を受けていたが、抜本的な対策を取らないまま、買い物客や従業員が出入りできる状態で営業を続けていた。岡島は「石綿除去費用が捻出できなかった」と話している。
戦前から中心街に店舗を構え、80年間営業を続けてきた老舗の岡島で、アスベストが見つかったのは、1974年に建てられた第1駐車場。地上7階、延べ床面積5千平方メートル弱。
旧店舗の東に隣接し、建物の老朽化で2月14日に旧店舗の営業を終えたのに伴い、不動産開発会社のMIRARTHホールディングス(旧タカラレーベン・東京都)に売却された。岡島は3月3日から近くの商業ビル「ココリ」に移転し、営業を再開している。
「建て替えを検討するうちに時間が過ぎた」
検査は市の補助金をもとに岡島が10年に実施。その結果、旧店舗本館6階の天井の一部と、第1駐車場の1、4、7階の梁(はり)の耐火用吹き付け材から国の基準の0・1%を超えるアスベストが検出された。
岡島の社長室は「アスベストの危険性は認識していた」と認める一方で、「これまで健康被害の報告はない」としている。はがれ落ちた吹き付け材が見つかった場合は、そのつど専門業者に処理を依頼していたという。
対策を施さなかった理由について社長室は「機器を使った調査で空気中に石綿の飛散はないと確認した。除去の必要性は指摘されてきたが、駐車場の建て替えなどを検討するうちに時間がたってしまった」と説明している。
甲府市「指導続けたが、強い措置とらなかった」
岡島は検査を実施した10年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル